関連死1632人の事実

 復興庁の調査によれば、東日本大震災において、2012年3月末までに震災関連死に認定された人が1632人に上るという事実が明らかになりました。県別では、岩手県193人、宮城県636人、福島県761人、茨城県32人、その他の県が10人となっています(詳細は資料1)。この数字は、おおよそ全体の死者行方不明者の1割弱にも及んでいます。

朝日新聞(4月19日)の記事
朝日新聞(4月19日)の記事

1)震災関連死とは

 震災関連死とは避難生活の疲労や震災のショック、仮設住宅での健康悪化、或いは自死などして亡くなるケースのことを指します。1995年阪神・淡路大震災では兵庫県内のデータしか分かりませんが、死者6402人のうち、919人(14.4%)が震災関連死と認定されています。2004年新潟県中越地震では、極寒の避難所生活を避け、車中避難をしていた高齢者等がエコノミークラス症候群等で亡くなっています。

 このように、大きな災害では必ず関連死による死者が発生しており、その数も見逃せないほど大きな数字となっています。

 関連死は、災害でせっかく助かった命が、その後の対応の在り方によって死に至ってしまうということ、つまり、防ぐことのできる死が防げなかったという点において、大きな問題を孕んでいます。福祉関係者だけでなく、地域住民、ボランティア、様々な人たちが力を合わせて、こうした状況を防いでいくことが重要になっています。

7月11日朝日新聞朝刊より
7月11日朝日新聞朝刊より

 

2)過酷な避難生活

 関連死は避難所の生活環境とあり方と密接に結びついています。避難所の劣悪な環境が高齢者や障害者の体力を奪い、死に至らしめます。例えば、福島県浪江 町では、震災死として認定した76人のうち59人が震災発生から3か月以内に死亡しています。これは、震災後の避難生活の過酷さを物語っているものと言え ます。震災関連死の原因について復興庁が行った調査でも「避難所生活などでの肉体的・精神的疲労」により亡くなった方が全体の47.1%を占めています (詳しくは資料2、資料3)。

 さらに、3月29日の東京新聞では避難所の状況について次のように記しています。「高齢者を中心に約二百人が過ごす石巻市の避難所は、開放された四カ所 の部屋に人があふれ、ロビーにいすを並べて寝る人もいた。夜は悲鳴のような寝言があちらこちらから聞こえた。嘔吐して窒息しそうになったお年寄りを、一晩 で二人助けた」。

 特に、東日本大震災では、寒い時期の被災で、着るもの1つ持ってくることもできず、津波で流されてしまいどこにあるか分からないという状態で、凍えそう な避難生活が続きました。トイレに行くにも、何度も立ちあがるのが周囲に迷惑をかけていると心配し、結果、水分をほとんどとらずに血栓が詰まり死亡に至 る、ということが現実に起きています。

 

3)障害者も避難所で暮らせない

 また、避難所の生活が過酷なのは高齢者にとってだけではありません。障害者もまた過酷な避難生活の中で尊い命を落とす、ということが起きています。

 JDF被災地障害者支援センターふくしまの南相馬市での調査によれば、7割の障害者は避難経験がありますが、そのうち一般の避難所(小中学校の体育館な ど)に避難した障害者の多くが一般の避難所に長くいることができず、壊れかけの自宅での生活を余儀なくされたり、馬小屋のような小さな蔵で過ごしたことも ありました。また、避難所にいられない理由を聞くと、周囲の目が気になるから…という声が多く聞かれます。 災害時要援護者の問題は専門職だけの問題では ありません。避難所の環境を整備する、或いは、地域住民に対し障害者の理解を深めるなど地域ぐるみで対策を考える必要があります。

 

阪神・淡路大震災の死者にかかる調査について(兵庫県hp:平成17年12月22日記者発表)

(資料1)20120511復興庁資料
震災関連死者数.pdf
PDFファイル 30.0 KB
(資料2)20120712復興庁資料
震災関連死の主な原因.pdf
PDFファイル 88.1 KB

震災関連死認定基準.pdf
PDFファイル 215.2 KB

 

障害者の死亡率は一般の人と比べて2倍

 東日本大震災では、障害者の死亡率が一般の人と比べ、特徴的に高い状況となりました。

 毎日新聞が平成23年10月に行った調査によると、岩手県、宮城県、福島県の沿岸部のうち犠牲者がでた35市町村の死者は1万3,619人となり、人口に占める割合は0.9%となっています(仙台市と陸前高田市除く)。一方、身体・知的・精神の障害者手帳所持者の死者は1,568人で手帳全所持者7万6,568人から計算すると、およそ2%となっており、実に100人に2人の障害者がこの東日本大震災で亡くなったということになります。

 下のグラフの示すように、特に、石巻市では7.4%、女川町では14%と非常に高い数値が出ています。

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