福祉避難所とは

 福祉避難所は、地域に住む支援の必要な高齢者や障害者、子ども等が災害時においても、適切な支援が受けられるよう、一般の避難所とは別に設けられるものです。福祉避難所が法的な位置づけで、災害時に設置されたのは2007年3月の能登半島地震とされています(輪島市 河崎国幸 第32回北海道自治研集会 第Ⅲ-①分科会 都市生活とまちづくりレポート)。その後、2007年7月新潟県中越沖地震では、能登半島地震の時には福祉施設のみだったのが、学校などを福祉避難所とする新しい形態が出てきました。

 ※なお、能登半島地震では4月4日「老人保健施設 百寿苑」のデイルーム内に設置。対象は「虚弱等の高齢者(自宅においては、自分のことは自分でできるが、普通の避難所においては共同生活が出来ない高齢者)」で、包括等が面談のうえ決定した。実利用人数13人。

 こうした動きが出てきた背景として、1995年阪神・淡路大震災や2004年新潟県中越地震で災害関連死が多発したことが挙げられます(被災地の実態ページを参照下さい)。国でも内閣府を中心に検討が進められ、平成18年に「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」を策定、その中で市町村による福祉避難所の積極的な設置が盛り込まれました。  

 なお、東日本大震災では、厚労省から施設の空きスペースなどを福祉避難所として提供するよう、全社協を通じて関係各団体に事務連絡が出されました。

 

 福祉避難所の設立経緯や参考文献等はこちらが詳しい

 http://www.arsvi.com/d/f06.htm

 

高齢者、障害者等の要援護者の緊急的対応について(厚労省)
高齢者、障害者等の要援護者の緊急的対応について.pdf
PDFファイル 46.5 KB

 

福祉避難所でできること

 福祉避難所を設置すると、災害救助法の避難所となるため、国庫負担の対象となります。福祉避難所にて使用できる経費の例として、以下の3つが挙げられています。

1 概ね10人の対象者に1人の相談等に当たる介助員等の配置

2 要援護者に配慮したポータブルトイレ、手すり、仮設スロープ、情報伝達機器等の設置

3 紙おむつ、ストーマ用装具、その他日常生活上の支援に必要な消耗器材の購入

など。これ以外にも福祉避難所を運営するに当たり、必要な経費については思弁されることになっています。以上の内容については、平成22年度災害救助法事務取扱要領(40~41p)にも記載されています(下記、ファイルを参照)。

 

福祉避難所の課題

1)福祉施設の職員に対する周知

 東日本大震災では福祉避難所に指定されていたにもかかわらず、地域の高齢者が避難してきた際に受入れを断った施設もみられました。これは市が主導となり、全ての高齢者福祉施設を事前に福祉避難所として指定していたものですが、指定されていた施設の職員がそのことを知らなかったために起こったものです。

 福祉避難所は登録がなされれば機能するものではない、ということがこの事例からも良く分かります。指定されているのであれば、どのように地域の要援護者を受け入れるのか、スペース、人的な資源、物資、情報、これらを災害時にどのようにマネジメントするのか、事前に考え、備えておく必要があります。

2)地域の要援護者・家族への周知

 一方、地域に住む要援護者、そして、その家族が「福祉避難所」という存在を知らない状況も見られます。一般の避難所に行ったけれど、到底、数日間過ごせる場所ではないということから、壊れかけの自宅に戻って生活を続けていたり、一般の避難所の過酷な状況の中で我慢を重ねて暮らしている方もいます。こうした状況がいわゆる「災害関連死」につながります。

 日常から一般の避難所を知ることに加え、近くの福祉避難所がどこなのかを知ることもとても重要なことです。

 また、福祉避難所は災害救助実務取扱要綱によれば、家族も福祉避難所に一緒に避難して差し支えないと書いてありますので、離れ離れになる必要はありません(ただし、当然ながら家族は一般の避難所への避難者の対応と同様となる)。

3)二次避難所としての位置づけ

 2)にて、近くの福祉避難所を知ることも重要と書きましたが、福祉避難所は区市町村で「二次避難所」として位置づけられている場合がおおくあります。これは、「まずは、体育館や小学校などの避難所に行ってくださいね、そこでダメなら福祉避難所に行ってくださいね」という意味です。福祉避難所への避難は、本人や家族が、民生委員、地域住民、区市町村職員の支援を得て避難することが原則とされており、中には、一般の避難所にいる避難者の中から、保健師等が必要な人をスクリーニングするとしているところもあります。

 この考え方は一見、なるほど!と思うところもありますが、例えば、要援護者ですから、足の悪い高齢者や視覚障害者、聴覚障害者、…などのハンデのある人たちに何度も避難所を移れというのも酷です。一般の避難所が遠く、福祉避難所に指定されている福祉施設が家の隣、という人もいるでしょう。こうした状況に柔軟に応えられるよう、地域防災計画を策定しておくことが必要です。

(個人的には、地域の住民と福祉避難所に指定された福祉施設との話し合いを事前に行い、決めておくことが一番良くて、変に区市町村が口を出さないほうが良いように思います)。

4)運営マネジメントの主体

5)閉鎖時期

 設置後の閉鎖の問題

 

福祉避難所関連資料

福祉避難所概要と設置フロー
mhlw-shiryou.pdf
PDFファイル 161.3 KB
福祉避難所の設置・運営に関するガイドライン(日本赤十字社)
福祉避難設置・運営に関するガイドライン.pdf
PDFファイル 1.3 MB
平成22年度災害救助法事務取扱要領
h22_toriatukai.pdf
PDFファイル 791.9 KB

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